東南アジアの先進国シンガポール。台風や地震といった自然災害が極めて少ない国ですが、国防と市民の安全対策(トータル・ディフェンス)の徹底ぶりは世界トップクラスです。その象徴が、新築の住宅(特に公営住宅「HDB」)に設置が法的に義務付けられている「家庭用シェルター(Household Shelter)」です。このユニークな防空・防災設備について紹介します。
シンガポールの「家庭用シェルター」とは?
1997年以降に建てられたシンガポールの全ての新築マンションや戸建て住宅には、住戸内に1箇所、防空シェルターの設置が義務付けられています。これは、有事の際の爆風や砲撃、瓦礫の崩落から身を守るための避難スペースです。そのため、以下のような非常に強固な設計が施されています。
- 極厚の鉄筋コンクリート壁:一般的な壁よりもはるかに厚く、補強されたコンクリートで囲まれています。
- 耐圧・密閉の鉄製扉:重量感のある特殊な鉄扉が備え付けられており、ガスや爆風の侵入を防ぎます。
- 独自の換気口:密閉空間でも呼吸ができるよう、特殊な防護カバー付きの換気設備が備わっています。
普段はどう使っている?驚きの日常活用法
「有事の備え」とはいえ、普段は何もない平和な国。多くのシンガポール国民は、この頑丈なシェルターの部屋を日常的に有効活用しています。その主な用途は以下の通りです。
- 物置・収納スペース:最も一般的な使われ方です。ゴルフバッグやスーツケース、掃除機などを収納するスペースとして使われます。
- 食品パントリー(食料庫):温度変化が比較的少ないため、水や缶詰、非常食などのローリングストック用倉庫として最適です。
- 書斎やオーディオルーム:コンクリート壁で遮音性が高いため、小さな個室デスクを置いて集中するワークスペースや、防音室として使う人もいます。
日本でも応用できる「セーフティルーム」の考え方
日本でコンクリートのシェルターを後付けするのは困難ですが、この「家の中に最も安全な部屋を1つ作る」という考え方は非常に参考になります。
例えば、寝室や特定の小部屋を「背の高い家具を一切置かない」「窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る」「ドアの前に家具が倒れないように固定する」といった対策を行うだけで、地震発生時に真っ先に逃げ込める「家庭用簡易シェルター」を作ることができます。
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